アフリカ大陸の北端にあるモロッコには、歴史的な観光スポットがたくさんあります。アトラス山脈が国土を東西に分け、南部にサハラ砂漠、北部に農耕地帯と「メディナ」をもつ都市が広がっています。
数ある都市の中でも、フェズはモロッコ人にとって特別な場所です。いまは首都ではありませんが、かつてはイスラム王朝の王都として栄華を誇りました。
歴史的建築物も数多く、エキゾチックな雰囲気を存分に味わえるフェズについてご紹介します。
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フェズについて

フェズはモロッコ北部にあり、かつてイスラム王朝の都がおかれた街として知られています。792年にイドリース朝の王都となったことに始まり、その後1200年もの間に多彩な文化の発展を遂げました。
モロッコには「メディナ」と呼ばれる旧市街があり、19世紀に発展した新市街とは異なる情景が広がっています。フェスの旧市街は「世界一の迷宮都市」といわれ、複雑に入り組んだ構造をしています。
周囲は高い城壁に取り囲まれ、狭い道沿いには商店や家屋がひしめき合っています。まるで迷路のような構造となっているため、目的地にたどり着くのは簡単ではありません。この造りは意図的なもので、外敵の侵入を防ぐためだといわれています。
この独特な街並みは「フェス旧市街」として、1981年に世界文化遺産にも登録されました。車が通れない道が多いため、現在でも荷物の運搬にロバやラバを使っています。旧市街の入口付近では、待合所にロバがたたずむ姿も見られます。
13世紀になると「モスク」とともに、イスラム教の高等教育機関「マドラサ」が造られました。荘厳な造り、繊細なアートからは当時の芸術性の高さが伺えます。フェズは芸術発展の中心地として、多くの見どころがある街でもあります。
また、フェズは職人の街ともいわれ、モロッコ土産の定番品である革製品もここでつくられています。動物の皮を加工するなめし革の工房がいくつもあるため、ベルトやバッグなど革製品の種類も豊富です。
フェズへの行き方
日本からモロッコへ飛行機で行く場合、フェズへの直行便はありません。今回は、カサブランカから行く方法をご紹介します。
カサブランカからフェズへの移動には、飛行機・バス・電車・車などが利用できます。
電車は、モロッコの鉄道ONCFで利用できます。ONCFは本数が充実しているため、便利でおすすめです。カサブランカの主要駅「カサ・ヴォワイヤージュ駅」から「フェズ駅」までの所要時間は約4時間です。
飛行機では、カサブランカ(CMN)からフェズ(FEZ)で約1時間で行くことができます。スカイスキャナー
バスの場合、CTMを利用しましょう。バスでの所要時間も約4時間です。
ツアーに参加し、車で移動するのも楽なのでおすすめです。所要時間は約3時間。
フェズの観光スポット
フェズを訪れるなら、ぜひチェックしておきたい観光スポットをご紹介します。迷路のようなメディナ、その内部にある美しいモスクやマドラサなど、フェズには見どころがたくさんあります。
中世から続く革細工の伝統技術も目にすることができます。フェズは歴史の息遣いを感じながら旅ができる街です。いろんな場所を巡りながら、日本にはない世界観を体験できるでしょう。
ネジャーリン木工芸博物館

ネジャーリン広場に面して建ち、モロッコの工芸品を展示している「ネジャーリン木工芸博物館」はぜひ訪れておきたい場所です。モザイクで装飾された美しい泉の前を通り、博物館へと入ります。
館内には楽器を始め、生活用品や農具などの木工芸品が展示されています。ネジャーリンとはアラビア語で大工のことを指し、いまなお博物館付近には家具職人の仕事場がいくつもあります。
メディア巡りで疲れた体を癒せるスポットとしても、この博物館はおすすめです。屋上のカフェから街を一望しながら、静かなひとときを過ごすことができます。
タンネリ

カラフルなスリッパ「バブーシュ」に代表されるように、モロッコでは革製品のお土産がとても人気です。革製品に使用するなめし革は、フェズの「タンネリ」という場所でつくられています。
色とりどりのパレットのように、ずらりと並んだ丸い桶にはカラフルな染料が入っています。中世からまったく変わらない方法で、動物の皮をなめし皮にまで加工します。この光景はモロッコならではのもので、伝統の素晴らしさを実感できることでしょう。
タンネリ付近には薬品の刺激的なにおいが漂うため、旅行客はマスクやミントの葉で鼻をふさぐことも多いといいます。職人が作業をする光景からは、革製品をつくる大変さが感じられるでしょう。
ブー ジュルード門

旧市街「フェズ・エル・バリ」には全部で8つの入口があります。その中で最も大きく、メインゲートとなるのが「ブー ジュルード門」です。1913年に建造されてから、フェズのシンボルともいえる存在になりました。
精巧につくられた幾何学模様のタイルは、青と緑で美しく彩られており息をのむほどの美しさです。緑はイスラム教において神聖な色とされています。大きなアーチの左右には、小さなアーチがひとつずつ配置されています。
外側からはメディナ内の景色が切り取られたように見えるため、アーチの向こうに見えるモスクやマドラサを入れて撮影するのが旅の定番となっています。
カラウィーン モスク

859年に建設されたフェズ最大のモスクが「カラウィーン モスク」です。10世紀にはミナレットが増築されるなど、少しずつ規模を拡張してきました。
当初は礼拝目的のみの使用でしたが、やがてマドラサとしても使われるようになった歴史があります。
現在は敷地内に「カラウィーン大学」もあり、アラブ諸国から多くの留学生が学びに来ています。世界最古の大学としてギネス世界記録にも登録されています。
しかし残念なことに、観光客は中に入ることができません。モスクは基本的にイスラム教徒だけが入れる場所ですから、訪れた際は入口から少しのぞくだけにしておきましょう。
アッタリーン マドラサ

1325年のマリーン朝時代に建てられた、イスラム教の神学校「アッタリーン マドラサ」も必見です。イスラム教徒でなくとも入れるため、人気のスポットとなっています。
メディナの中心部にあり、カラウィーンモスクからも近い場所に位置しています。フェズ最大のマドラサである「ブー・イナニア・マドラサ」と比べると小規模ですが、中世イスラム建築の傑作と称されるほどです。
壁面は細部に至るまで丁寧に造りこまれており、幾何学模様の彫刻やモザイクタイルの美しさに圧倒されます。建物全体に重工があり、中庭にある美しい大理石の噴水がさらに厳かな雰囲気を演出しています。
メラー

モロッコにあるユダヤ人街のことを「メラー」といいます。フェズには最古のメラーがあり、木造のバルコニーが特徴的な石造りの建物が並んでいます。
フェズの中でも塩気の多い土地にユダヤ人街がつくられたため、アラビア語で「塩」を意味するメラーという名称になりました。ここでは、モロッコにおけるユダヤ人の歴史を知ることができます。
中世において、ユダヤ人はスペインで迫害される存在でした。モロッコに多くのユダヤ人が逃れ、その数は多いときで25万人にも上りました。
イスラエルが建国されると、多くのユダヤ人が移住していきました。現在、モロッコ内にいるユダヤ人の多くはカサブランカに居住しています。
ブー・イナーニーヤ・マドラサ

アッタリーン マドラサと同様に、「ブー・イナーニーヤ・マドラサ」も非イスラム教徒が見学可能です。14世紀に神学校として建設されましたが、現在は学校としての機能はありません。
ブー・イナーニーヤ・マドラサには美しいミナレットがあり、その姿はブー ジュルード門のアーチを通しても確かめられます。緑のモザイクタイルで彩られており、フェズで最も美しいミナレットだと称えられるほどです。
中庭にはかつて学生が身を清めた水盤があります。宿舎として利用されていた小部屋も見られるため、当時の様子を思い描きながら見学できるでしょう。
フェズ・エル・ジェディド

13世紀にフェズは最盛期を迎え、マリーン朝によって「フェズ・エル・ジェディド」が造られました。場所はフェズ・エル・バリの南西、マリーン朝の王スルタンが居城としていた王宮もあります。
この地区で見ておきたい観光スポットが「ダール・バドハ博物館」です。先住民族ベルベル人の装飾品など、フェズにまつわる歴史品の数々が展示されています。
建物自体は19世紀の宮殿を改装したものです。ムーア様式の庭園はとても静かで、メディナの喧騒を忘れるほどです。楽園をイメージして造られたといわれています。
なお、王宮に関しては残念ながら一般公開はされていません。広場に面する美しい正門だけは目にすることが可能です。豪華な金色の扉、幾何学模様のタイル装飾は一見の価値があります。
まとめ
モロッコに旅行するなら、フェズは必ず訪れておきたい場所です。マラケシュ、シャウエン、サハラ砂漠など、魅力ある観光スポットの多いモロッコの中でも、人気の高い場所のひとつです。
伝統的な技術がいまもなお受け継がれ、歴史の素晴らしさを体感することができるでしょう。美しい幾何学模様やモザイクタイルの建築が、訪れた旅行客を異世界へと誘います。
メディナは迷いやすいことで有名ですが、それも旅の醍醐味のひとつ。迷路のような街で非日常を存分に楽しんでみてはいかがでしょうか。
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