アフリカ北部のヨーロッパ大陸にもっとも近くに位置しながらも、イスラムの雰囲気漂うエキゾチックな国、モロッコ。
そんなモロッコは辿ってきた歴史の影響から、あらゆる国の文化が織りなす史跡や街などが数多く存在し、現時点で世界文化遺産が9カ所もあります。
その歴史が刻まれた街なみや遺跡をひと目見ようと各国から多くの人々が訪れ、モロッコでは観光業がとても盛んで、国内の経済を支える大きな柱となっています。
この記事では、世界文化遺産に登録されているモロッコの9カ所の魅力についてたっぷりとご紹介していきます。
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モロッコの世界遺産はどこ?
まずはモロッコの世界文化遺産の名前と場所を見てみましょう。
世界遺産 | 場所 |
---|---|
フェズ旧市街 | フェズ |
マラケシュ旧市街 | マラケシュ |
アイット・ベン・ハッドゥの集落 | ワルザザート |
メクネス | メクネス |
テトゥアン旧市街 | テトゥアン |
ヴォルビリス古代遺跡 | メクネス |
エッサウィラ旧市街 | エッサウイラ |
マザガン(エル・ジャディダ)のポルトガル都市 | エル・ジャディダ |
ラバト | ラバト |
ここからは、それぞれの世界文化遺産の特徴やアクセス方法、観光のみどころなどについてご紹介していきます。
フェズ旧市街
モロッコのフェズ旧市街は、「世界一の迷宮都市」とも呼ばれ、その歴史的な魅力と迷路のような街並みで訪れる人々を魅了します。
1981年にモロッコで最初に世界文化遺産に登録されたこの地域は、8世紀末にイドリス朝によって首都として発展しました。
フェズ旧市街は、歴史、文化、工芸が織りなす魅力的な世界を体験する絶好の場所です。
二つの主要な区域、「フェズ・エル・バリ」と「フェズ・エル・ジェディド」に分かれており、その複雑な道路網は訪れる人々に冒険心を掻き立てます。
フェズ・エル・バリの観光スポット
- カラウィーンモスク
- ブー・ジュールド門
- アッタリーン・モスク
- ブー・イナーニーヤ・マドラサ
フェズ・エル・ジェディドの観光スポット
メラー(旧ユダヤ人街)
また、フェズを説明する上で欠かせないものといえば、モロッコでも最大規模を誇る伝統的なタンネリ。タンネリとは、皮をなめして染める産業です。その他にも金属加工などフェズは手工芸品の宝庫として有名です。
マラケシュの旧市街
モロッコの中央部に位置し、ベルベル語で「神の国」を意味するマラケシュ。カサブランカから鉄道で3時間と比較的アクセスしやすい場所になります。
12世紀、ムラービト朝に都市として発展を始め、後に王朝が変わるたびに建造物の建立、破壊が繰り返され今のマラケシュの旧市街の姿となり、1985年、世界遺産に登録されました。
かつてはアフリカ最大の交易都市として栄えたことから、今もたくさんの観光客で賑わっています。
マラケシュでの楽しみはなんといってもグルメとショッピング。狭い路地にお店がひしめくスーク(市場)や旧市街の中心にあるジャマエルフナ市場で食事を楽しむのは地元の人々の生活が垣間見え、街の活気を肌で感じられる体験です。
観光スポット
- ジャマエルフナ広場
- 市場(スーク)
- クトゥビーヤ・モスク
- ベン・ユーセフ・マドラサ
- アグノウ門
アイット・ベン・ハッドゥの集落
モロッコの南東部に位置するアイット・ベン・ハッドゥ。
主なアクセスはマラケシュからワルザザートまでバスで4時間、そこからバスやタクシーで30分ほどの距離となっています。
伝統的な粘土や日干し煉瓦で築かれた住宅が時代を追って防衛を目的に要塞化し、徐々に城塞となっていきました。
このような城塞化した街を「カスバ」と言い、このアイット・ベン・ハッドゥはその中でも保存状態がよく、映画「グラディエーター」や「アラジン」のロケ地となったことなどでも有名です。
アイット・ベン・ハッドゥは特定の観光スポットがあるわけではなく、集落全体がアート作品のような見応えがあります。丘の上から雄大な街並みを見下ろすのはもちろん、低い位置から集落全体を見上げることで周りの山々と調和が取れたその美しさに息を飲むことは間違いありません。
メクネス
モロッコ北部に位置し、フェズから鉄道で1時間ほどの古都メクネス。ヨーロッパ様式とイスラム建築の融合が美しい街並みは「モロッコのヴェルサイユ」とも呼ばれています。
メクネスは、元々ベルベル人が町を築いていましたが、国王イスマエルの統治下にあった当時の王朝は強大なヨーロッパ諸国と国交を結び、その影響を大きく受け大きな発展を遂げました。
メクネスはオリーブやワインが名産なので、中心にあるエディム広場から伸びるスーク(市場)でお土産探しをするのも楽しそうですね。
観光スポット
- マンスール門
- ブー・イナニア・マドラサ
- カラの地下牢
テトゥアン旧市街
モロッコ北部のリフ山脈の麓に位置するテトゥアン旧市街は「モロッコのアンダルシア」とも呼ばれ、白を基調とした建物が美しい街です。
アクセスはシェフシャウエンからのバスで1時間ほど。
かつてキリスト教の勢力が強大となったアンダルシアを追われた人々が多く住み、その当時の姿が今も残る貴重な存在として世界遺産登録されました。
9割以上がイスラム教徒と言われるモロッコにありながら、アンダルシアの文化を根強く残し、街の中には教会や料理などでスペインの雰囲気を感じることができる、不思議な街です。
モロッコに現存するメディナ(旧市街)の中でも最もコンパクトと言われており、迷路のような街をのんびりと散歩しながら街の雰囲気を感じるのがおすすめです。
ヴォルビリス古代遺跡
ヴォルビリス古代遺跡は、モロッコ北部にあるモザイクに彩られたローマ時代の古代遺跡です。
メクネスから車で1時間ほどの場所に「ムーレイ・イドリス」という古都があり、聖者の町とも呼ばれています。
先住民ベルベル人によって開拓された後、古代ローマ帝国の支配下でマウレタニア西部の首都として発展を遂げ、全盛期には3万人の人が暮らしたと言われています。
やがてローマ帝国が勢力を弱め、イスラム王朝が台頭するとヴォルビリスは廃墟となりましたが、1900年代になってフランス調査団により発掘されました。
至る所に当時のローマ皇帝の肖像や名前が刻まれた床や門が状態よく保存されており、当時アフリカの土地まで及んでいたかつてのローマ帝国の勢力の強さをうかがい知ることができます。カラカラ帝の巨大な凱旋門や邸宅の床に施された神話に登場する神たちのモザイクタイルなどは必見です。
エッサウィラ旧市街
マラケシュからバスで3時間ほど走ったところにある大西洋沿いの港町エッサウィラ。
かつて港からの敵の侵入を防ぐため、ポルトガル人が街を城塞でぐるりと囲み都市を作り上げ、その造りを生かしてフランス人の建築家が18世紀になって要塞都市として設計し、現在のスタイルになりました。
高く築き上げられた城壁の上には大砲が並び、かつての軍事建築様式を見ることができ、現在はここから望む夕日がとても美しく、おすすめの絶景ポイントとなっています。
エッサウィラは他のマラケシュやフェズに比べると、観光地化はあまり進んでおらず、ローカルの人々の暮らしや文化を体感しながら、美味しい海鮮に舌鼓を打つことができます。
観光スポット
- 旧市街メディナ
- スカラ通り
- 港・ビーチ
マザガン(アル・ジャディーダ)のポルトガル都市
エッサウィラよりも北の大西洋沿いにある港町マザガン。マザガンは、16世紀にポルトガル人によって築かれた要塞都市で、その独特な都市構造と美しい建築物が特徴です。
カサブランカから鉄道で1時間半、もしくはバスで2時間ほどの距離に位置しているこの都市は16世紀から18世紀にかけてポルトガルの支配下にあり、その時代に大きな要塞が建設されました。
その後、アラブ勢力の攻撃により大きな打撃を受けながらも再建を果たし、「新しいもの」を意味する「アル・ジャディーダ)として現在に至ります。
戦禍を免れたポルトガルのマヌエル様式の建物、ルネサンス様式の砦や城壁、ゴシック建築の教会などそれぞれの時代の歴史を刻む建築物が混在しており、この都市の盛衰を想像しながら巡るのも楽しそうです。
観光スポット
地下貯水槽
ラバト
現在のモロッコの首都であるラバト。ラバトとは城壁都市を意味し、絨毯製造、繊維、食品加工、建設など様々な産業が盛んな近代歴史都市です。
マザガンよりもさらに北の大西洋沿岸に位置し、カサブランカから鉄道で1時間ほどでアクセスできるほか、空の玄関口ラバト・サレ空港からはバスやタクシーで30分ほどの距離になっています。
「近代の首都と歴史都市の側面を併せ持つ街」の姿が評価され、2012年に世界遺産登録されました。その呼び名を象徴するように、ラバトは歴史の中で幾度となく興亡を繰り返して現在の姿になっています。
旧市街の周辺にはイスラム王朝が12世紀に建てた城塞をその後イベリア半島から逃れてきた人々が発展させた城門などを見ることができ(ウダイヤのガスパ)、そのヨーロッパとイスラムの文化の融合を感じることができます。
まとめ
アフリカにありながらも、ヨーロッパ諸国とイスラムの影響を強く受け、まるでヨーロッパの国々とアラブの国を旅しているような気分にもなる不思議な国「モロッコ」。
世界遺産が9つも現存し、その1つ1つが刻む歴史の深さにワクワクが止まらない旅ができること間違いなしです。
次回の旅先の候補にモロッコを選んでみてはいかがでしょうか。
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