みなさんはモロッコ料理にどんなイメージを抱きますか?サハラ砂漠やビーチなどの絶景、美しい街並みが人気のモロッコは、料理もおいしいと評判の国です。
世界的にも有名な「クスクス」をはじめ、モロッコ料理は多彩なスパイス使いに魅力があります。10年以上前に日本で流行った「タジン鍋」も実はモロッコ料理のひとつ。
この記事では、具材たっぷりで栄養満点、程よくスパイシーなモロッコ料理について紹介します。
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モロッコ料理の特徴
モロッコ料理は先住民族「ベルベル人」の料理がもとになっています。「クスクス」や「タジン」はまさにベルベル料理の代表です。それらが周辺諸国の影響を受けて、独自のスタイルを築き上げてきました。
北アフリカの最西端に位置し、ヨーロッパから見ればアフリカへの入口ともいえる場所です。モロッコ料理に影響を与えたのは、アラブ・ペルシャ・トルコなどのアラブ諸国だけではありません。地中海の向こう側にある、ヨーロッパの要素も入っています。
そんなモロッコ料理最大の特徴が多彩なスパイス使いです。辛みの少ないクミン・シナモン・ターメリックなどが使われているため、日本人向きのあっさりとした味わいをしています。市場ではたくさんのスパイスがきれいに並ぶ風景が見られます。
ハーブやオリーブオイルも欠かせません。スパイスも含め、前菜からメイン料理まで、多くの料理に使われます。立地や気候に恵まれていることで手に入る食材も多く、肉類はもちろん、ヒラメ・タイ・イワシなど魚類の料理も楽しめます。
モロッコの主食
モロッコ人の主食は「ホブス」と呼ばれるパンです。ガイドブックでは「アラビアパン」と書かれることもありますが、現地では「ホブス」といいます。丸くて平たい形はフォカッチャにも似ており、食感はもちもちとしています。
素朴な味わいはどんな料理にも合わせやすく、モロッコの家庭ではいつも食卓に並びます。かむほどに味わいを増し、料理の味を引き立たせてくれる存在です。レストランでも必ずと言っていいほど、料理とセットで出てきます。
いろんな食べ方ができるホブスは、タジンのような汁気たっぷりの煮込み料理との相性も抜群です。スプーンのように具をすくいながら食べるホブスは絶品で、最後はスープのふき取りにも使えます。
また、屋台で大人気のメニューがホブスを使ったサンドウィッチです。チキンやケフタのような肉と合うのはもちろん、さっぱり味のマリネにもよく合います。じゃがいもとゆで卵を挟み、オリーブオイルをたっぷりかけたホブスも、モロッコ人の定番メニューです。
ホブスはおかずと合わせるだけでなく、スイーツのように甘いジャムやはちみつをつけてもおいしく食べられます。また、バターやオリーブオイルをかければ、ホブス本来の味わいを楽しむことができるでしょう。
モロッコの飲み物
モロッコを語るうえで欠かせないのが「ミントティー」です。日本人が想像するような爽やかな味わいとは異なり、とにかく甘いのが特徴です。中国緑茶に大量の砂糖を入れて煮出し、生のミントを加えています。
ミントの入れ方は地方によって特色があり、北部はグラスに、南部はポットに入れるのが習慣です。まろやかな味わいを出すため、高い位置から空気を含ませるようにグラスに注ぎ入れます。
アルコールは入っていませんが、ミントティーの色がウイスキーによく似ています。モロッコ人は「モロッカンウイスキー」もしくは「ベルベルウイスキー」と呼び、1日に何杯も飲みます。
イスラム教を国教とするモロッコでは、基本的にお酒が飲めません。ミントティーはお酒に代わる贅沢ぜいたく品として、モロッコ人に欠かせないものとなっています。コーヒーよりも安く、家庭でもカフェでも広く飲まれています。
また、モロッコはフルーツの生産量が多い国です。なかでもオレンジは年間を通じて市場に並び、モロッコのジュースといえば「オレンジジュース」というほど人気があります。ジューススタンドでは注文を受けてからその場で絞ってくれます。
オレンジジュース以外にもたくさんのフレッシュジュースがあり、一杯でお腹が満たされるほど濃厚な「アボカドジュース」も人気でとても美味しいのでオススメ。
主なモロッコ料理
サラダ・パスタ・スープなど、モロッコ料理の代表格をいくつかご紹介します。さまざまな文化の影響を受けたモロッコ料理は、どれも彩りが鮮やかで栄養たっぷりです。じっくりと手間をかけてつくる料理はどれも味わい深く、一度食べればやみつきになるでしょう。
クスクス
世界最小のパスタともいわれる「クスクス」はモロッコを代表する料理のひとつです。そぼろのような見た目ですが、食感はふんわりとして甘みがあります。煮込んだ肉や魚、野菜などをのせて、右手で丸めながら食します。
クスクスをつくるには上段と下段に分かれた専用鍋が必要です。下段で肉や野菜などの具材を入れたスープを煮込み、その蒸気を利用して上段のクスクスを蒸します。クスクスの原料には小麦粉を粗くひいたセモリナ粉や大麦などが使われます。
クスクスは大皿をみんなで囲んで食べる料理です。イスラム教徒であるモロッコ人は金曜日にモスクで厳粛な祈りをささげ、帰ってから家族みんなでクスクスを食べます。小さな粒は丸めるのにとても手間がかかるため、市販のクスクスを買う家庭も増えています。
タジン
タジン鍋で煮込む料理はすべて、使われる食材に関係なく「タジン」と呼びます。タジン鍋には円すい形のフタがついており、蒸気を逃がさず鍋の中で水分が循環します。食材に含まれる水分だけで柔らかく煮込めるのが特徴です。
南部にサハラ砂漠が広がるモロッコにおいて水は貴重なものです。タジンはまさに先人の知恵がつくり出した調理法といえます。家庭では週に何度も食べるほど身近な料理で、中には旬のものを基本にさまざまな食材を入れます。
チキンやラム肉、魚、野菜などをタジン鍋で煮込むと、ぎゅっと味が凝縮し甘みも増します。塩漬けレモンを効かせた「チキンタジン」、ミートボールを入れた「ケフタタジン」が定番の人気メニューです。
ハリラ
モロッコでは「ハリラを飲めば病気にならない」と信じられているほど、具だくさんで栄養満点のスープです。家庭でも屋台でも日常的に食べる料理ですが、結婚式などの特別な日にもつくられます。
地方によって牛肉を入れたり、ラム肉を入れたりといった違いはあるものの、濃厚に仕上げることは共通しています。小麦粉が入っていることでスープにはとろみがあり、ひよこ豆やトマトなどを具材に使います。
ハリラは断食をするラマダンの期間中、「Ramadan Breakfast」としても食べられる料理です。日没に聞こえる大砲の音を合図に、ハリラで空腹を満たします。胃に優しく腹持ちの良いハリラは、しっかりと栄養を補うのに適しているのです。
モロッカンサラダ
モロッカンサラダは野菜を角切りにして、酢でさっぱりと仕上げたサラダです。ハーブやクミンなどのスパイスも香り高く、スパイシーなメイン料理と合わせるとおいしく食べられます。具材にはキュウリ・トマト・玉ねぎなどを使うのが一般的です。
切った野菜と調味料を入れて簡単にできますが、中には火を通したホットサラダもあります。その代表がナスとトマトを使った「ザルーク」です。ナスをペースト状になるまで煮込んだものは、ディップのようにも見えます。
レストランではモロッカンサラダを前菜として出すのが定番です。前菜とは思えないほどの量があるため、圧倒される観光客は少なくありません。米を一緒に盛り付けることもあり、お腹が満たされてしまうほどだといいます。
パスティラ
パイ包みの料理「パスティラ」は、モロッコ北東部に位置する都市フェズの名物料理として知られています。日常的に食べるものではなく、結婚式などお祝いの席で食べることが多い料理です。
粉砂糖とシナモンがふりかけられているためお菓子のように見えますが、甘さとしょっぱさの入り混じった味がします。見た目とのギャップ、食べ慣れない味から、最初は戸惑う日本人が多いようですが、私はすごい好きでした。
鶏肉やハト肉にナッツを合わせたもの、魚介と野菜を組み合わせたものなどが代表的です。モロッコでしか食べられない味なのでぜひチャレンジしてみてほしいです。
まとめ
やさしいスパイスが食欲をそそるモロッコ料理。調理法や味付けがユニークであることから、いろんな文化の影響を受けてきたことが分かります。
具だくさんで栄養たっぷりのモロッコ料理は、健康に気をつかう人にもぴったりです。辛みの少ないスパイスが素材の良さを最大限に引き出し、食欲をそそります。
「いつもと違う料理が食べてみたい」「エスニック料理にチャレンジしてみたい」という人にもおすすめです。モロッコ料理にしかない味わいをぜひ体験してみてください。
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