「青い街」と呼ばれるモロッコのシャウエン。
建物や道路が青く染められた街の写真を目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
シャウエンでは、地元民の生活を肌で感じながら、フォトジェニックで幻想的な景色を堪能することができます。
ここでは、シャウエンの歴史や魅力、観光スポットについて詳しく説明していきます。
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青い街シャウエンについて
アフリカ大陸の北西部に位置するモロッコの都市シャウエンは、モロッコ北西部にあるリフ山脈の奥深くにある小さな街です。
シャウエンの正式名称はシェフシャウエンで、「2つの山」を意味します。
このシャウエンの歴史は、1471年に遡ります。
元々この地に住んでいた部族やユダヤ人が、ポルトガル人の侵攻と戦うために、この地に小さな要塞を作ったことが始まりです。
その後、1920年にはスペインに占領され、スペイン領モロッコとなりましたが、1956年のモロッコ独立により、モロッコの都市となりました。
旧市街では、建物や道路が青く塗装されていることから、「青い街」と呼ばれ、その幻想的な景色は多くの観光客を魅了しています。
また、ウールで作られた衣類や毛織物など、モロッコの中でもシャウエンでしか手に入れることのできない手工芸品が売られているのも魅力の1つです。
シャウエンへの行き方
シャウエンは山奥にある小さな街ですが、人気の観光地ということもあり、モロッコの各都市からアクセスが可能です。
シャウエンには鉄道が通っていないため、公共交通機関はバスのみ。
バスはCTMという国営バスと民営バスの2種類あります。
国営バスは、ネットで事前にチケットを予約することができたり、料金や時刻表を事前に調べることができます。
主要都市から国営バスで移動するには、カサブランカから1日1本約6時間半、フェズから1日4本約4時間、タンジェから1日2本約3時間となっています。
ただ、自分で時刻表を確認して利用するのはハードルが高いという方は、タクシーやツアーを利用して、車での移動も可能です。
シャウエンの観光スポット
シャウエンでは旧市街の青い景色が有名ですが、青い街以外にも魅力的な観光スポットがたくさんあります。
ここではシャウエンの素敵な観光スポットについて詳しく説明していきます。
旧市街(メディナ)
「青い街」は旧市街(メディナ)にあります。
なぜ青いかについては諸説ありますが、シャウエンに住み着いたユダヤ人による説が有力とされています。
青色はユダヤ教にとって神聖な色であったことから、建物や道路を建設する際に青色に染めたと言われています。
その後、イスラエルが建国されたため、シャウエンに住んでいたユダヤ人のほとんどはイスラエルへ移住しましたが、街を青色に染める習慣は今も続いているようです。
他にも、虫よけのため、強い日差しで家の中が暑くならないようにするため、といった説もあるそうです。
旧市街内は車が入ることができないため、散歩に夢中になっても安全な上に、雰囲気を壊されることもありません。
また、旧市街の建物は庭を造らないつくりになっています。
庭がない分、青で塗られた建物には、カラフルなフラワーポットが吊り下げられており、花が飾られています。
さらに、ドアの形やデザインは1つ1つ異なっています。
青い街に、カラフルなフラワーポットやおしゃれなドアと、とてもフォトジェニックな景色を楽しむことができます。
迷路のような旧市街の中では、角を曲がったら誰もいない瞬間があり、青い世界に自分が取り残されたような、非日常的な感覚を味わうことができます。
印象的な青の街を存分に楽しんでみてください。
アウタ・エルハマム広場
アウタ・エルハマム広場は、シャウエンの街の中心にあるにぎやかな広場で、シャウエンの中心地と言っても過言ではありません。
階段や坂道の多いシャウエンの中で、数少ないフラットな土地です。
後にご紹介するグランドモスクやカスバ博物館などの有名な建物は、この広場に面しています。
レストランやカフェが立ち並び、地元民だけでなく観光客も入りやすい雰囲気です。
シャウエンのメディナは道が複雑でわかりづらいですが、この広場がどこにあるかを確認しながら散策すると道に迷いづらいです。
宿泊先はこの広場の近くにすると、散策に便利な上に、現地の人の生活を感じることができます。
散策に少し疲れたら、アウタ・エルハマム広場で一息ついてはいかがでしょうか。
グランモスク
グランモスクは、シャウエンを代表するモスクです。
15世紀に街の創設者アリベンラチドの息子によって建設されました。特徴的なギザギザ屋根が印象的です。
宗教上、異教徒(イスラム教徒以外)は入場することができませんが、中にある木製のシャンデリアは見物です。
観光客は、外観や隣接するカスバの塔からグランドモスクを見下ろすことができ、お祈りの時間になるとアザーンが流れ、モスク内に入らずとも神聖な雰囲気を味わうことができます。
カスバ博物館
このカスバは、城塞や砦を意味し、17世紀に建設されました。
博物館内には、楽器や衣装、工芸品などが展示され、牢獄跡や歴史解説のパネルなどが展示されています。
カスバ内には小さな庭園があり、隣接する塔からは前述したグランモスクだけでなく、シャウエンの街並みを一望することができ、夜になるとカスバがライトアップされ、より幻想的な雰囲気が漂います。
モロッコにあるモスクは、基本的に異教徒が立ち入ることができないので、歴史的建造物に入場できるレアな機会です。
ティトゥアン
ティトゥアンは、シャウエンから車で1時間半ほどの距離にある小さな街で、「白い鳩」の異名をもちます。
小さな町ですが、1997年に旧市街がユネスコの世界遺産に登録されており、シャウエンから日帰り旅行も可能です。
シャウエンの青い街並みとは対照的な白い街並みが特徴的で、特に旧市街には低層の白い家々が立ち並んでいます。
ティトゥアンの歴史はとても古く、紀元前3年には既に街があったとされています。ローマに占領されたのちに、1305年頃に現在のティトゥアンが築かれました。
一時は海賊行為への反撃として街が破壊されましたが、レコンキスタでイベリア半島から追われたスペインの貴族の末裔が住み着き、街を築き上げました。
元々はユダヤ人も多く住んでいましたが、のちにアルジェリアや南アメリカ、イスラエル等に移住したため、現在ティトゥアンに残るユダヤ人はごく少数です。
今でも、アンダルシア地方の影響を受けた美しい大理石の噴水や彫刻、絵画等が残っています。
モロッコの多くではアラビア語とフランス語が話されますが、ティトゥアンではこのような歴史上の背景もあり、アラビア語とスペイン語が話されることが多いのもこの場所の特徴です。
シャウエンの青い街とティトゥアンの白い街を両方堪能するのもおすすめです。
タンジェ
タンジェはシャウエンからバスで2~3時間ほどにある人口95万人程度の港町です。
タンジェは、ジブラルタル海峡を臨み、その先にはスペインやポルトガルがあるため、ヨーロッパへの玄関口として栄えました。
タンジェの歴史は古く、フェキニア人によって設けられた交易の拠点が起源となっています。ローマ帝国やヴァンダル王国の支配を経て、イスラム教徒勢に支配されました。
その後、レコンキスタに伴い、15世紀後半にはポルトガル領となり、一時イギリス領になりましたが、最終的にモロッコ領となりました。
第二次世界大戦時には、スペインがタンジェへ侵攻しましたが、終戦後には再びモロッコとなり、1960年までは期限付きで、為替や貿易に関して特別措置がとられていました。
これらの歴史からも、ヨーロッパとの距離の近さが伺えます。
バスだけでなく鉄道や空港もあるため、各都市から移動が可能で、ティトゥアンと同様、シャウエンから日帰り観光ができます。
多文化が入り混じる国際都市であることから、1930年頃から、富裕層や著名人の別荘地として人気が高く、さまざまな人種の人々や文化が集まる、とても魅力的な街です。
まとめ
いかがでしたか。今回は、魅力的な街、シャウエンについてご紹介してきました。
シャウエンでは、イスラムやキリストの多様な文化を感じることができ、青い街以外にも素敵なスポットがたくさんあります。旅行の際は、近くの街に繰り出してみるのもいいかもしれません。
フォトジェニックな空間をぜひ堪能してみてください。
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